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-那賀高校に木育授業-  モノづくり・商品開発の講義実習を実施

9/10に那賀高校の森林クリエイト科の講義・実習を講師として対応させていただきました!

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から去年・今年と講師対応できておりませんでしたが、久々の共同実習に生徒や先生の皆さまも喜ばれていました🌲

この那賀高校での木育授業の様子を少しご紹介します!

木のモノづくりに関する講義

まずは座学です。那賀ウッド・庄野よりモノづくりに関する講義を行いました。

那賀高校森林クリエイト科 木育授業の様子

那賀高校森林クリエイト科 木育授業の様子

木育授業は密にならないように対策の上行いました

木育授業は密にならないように対策の上行いました

生徒のみなさん木育授業を真剣にお聞き頂きました

木育授業の講義はどんな内容?

那賀高校と那賀ウッドの木育授業では、生徒のみなさんにモノを作る技術を習得してもらうだけでなく「モノづくりの考え方」「モノがお客様にどのように届くか」を学び、商品の開発を実践することをテーマとしています。

今回は久々の授業とあって、過去の振り返りも含めて↓のような構成で授業を行いました。

木育授業・講義編
1.那賀ウッドの紹介
2.モノづくりとは
3.スマホスタンド開発の経緯
4.企画してみよう!

1.那賀ウッドの紹介

今回の授業は森林クリエイト科の3年生

コロナ禍の中で接する機会があまりなかったことから、まずは那賀ウッドの紹介をさせて頂きました。

ムービーをご覧いただくと何となく全体的な説明ができるので非常に助かります!

2.モノづくりとは

外部講師だからこそできる話として、まずはモノづくりの上流(企画)から下流(販売)までの大きな流れや分担の話をさせて頂きました。

生産工程の事例として、企画設計調達製造梱包販売という段階があり、それぞれの段階で考えることがあります。

木育授業 モノづくりとは1

木育授業 モノづくりとは1

せっかくなので是非みなさんも考えてみてください!

モノづくりというと製造というイメージがあるかもしれませんが、製造に取り掛かるまでに考えないといけないことはたくさんあるし、製造以降のどのようにお客様のもとに届くかも考えないといけません。

那賀ウッドは↓のように考えながらモノづくりを行っています。

木育授業 モノづくりとは2

木育授業 モノづくりとは2

形の決まったものを作る製造という段階だけで考えると、設備や工程の工夫でいかに効率化を図るか、そして技術を駆使して如何に精度の高いものを作るかということに意識が向きがちです。

今回はモノづくりを俯瞰的に見たときに、全体と各段階で考える一番大事なことはお客さんのニーズに合っているかということをだと話をさせて頂きました。

企画「お客さんはどんなものが欲しいんだろう?」

設計「基準に合ったモノにするにはどんな構造にしなければいけない?」

調達「その構造を満たすためにはどんな材料をそろえないといけない?」

製造「加工するためにはどんな道具や技術が必要になる?」

梱包「一般向けか業務用かでも売り方が全然違う。誰にどこで買ってもらう?」

販売「この市場でこの価格設定・売り方で売れるかな?」

 

事例紹介として、那賀ウッドが製造する木粉の考え方を紹介しました。

木育授業 モノづくりとは3 那賀ウッド-木粉

木育授業 モノづくりとは3 那賀ウッド-木粉

もちろん、同じ木粉の商品でも、お客さん・売り方に応じて上図の方法から変更することはあります。

少量が欲しいお客様向けに少量パッケージをネット販売するなど、お客さんのニーズを踏まえて対応しています。

次に、那賀高校とも連携して取り組むスマホスタンドの考え方についても紹介しました。

木育授業 モノづくりとは4 那賀ウッド-スマホスタンド

木育授業 モノづくりとは4 那賀ウッド-スマホスタンド

最初の事例の木粉は、全ての工程を那賀ウッドが直営で行っていました。

しかし、上のスマホスタンドの事例では、工程ごとに対応するメンバーが変わっています

必ずしも全部自分でやらずとも、それぞれに強みを持つメンバーと協力することで最終的にお客さんに届けるモノづくりを行うことも可能であるということを紹介しました。

最後に価格の考え方についてもみんなで意見交換を行いました。

商品をお客さんが手に取るまでの間にはいろいろな手間がかかっています。

さて、どんなところに経費がかかっているか是非一緒に考えてみましょう!

木育授業 モノづくりとは5 経費の考え方

木育授業 モノづくりとは5 経費の考え方

 

以下は、那賀ウッドが直営でモノづくりを行う際の事例として紹介させて頂きました。

木育授業 モノづくりとは6 経費の考え方

モノづくりの経費というと、主に商品の原価(材料費、加工に必要な人件費や電気代)をイメージされる方が多いのですが、実はいろいろなところにコストがかかります。

企画や設計の際にデザイナーさんなどに依頼したり、特別なソフトを使用したりすると外部委託費、ソフト費、備品費などいろいろな費用が発生します。

また、いざモノができてからも、お店で販売頂く際にはその手間も発生します。(お店にも人件費や設備費などさまざまな経費が掛かるんです!)

例えば自分が製造の部分だけに注力し携わっているとしても、全体の流れやコンセプトを知っておくことが更なる商品の改善やお客さんへのアプローチにつながっていくよと、このような感じでまずはざっくりとモノづくりの流れを紹介しました。

3.スマホスタンド開発の経緯

モノづくりの全体的な流れを踏まえ、那賀高校森林クリエイト科の具体的な商品開発事例を振り返りました。

生徒さんもそうですし、新任の先生も聞き入って頂きました。

高校生が販売を見据えたモノづくりの一番大事なポイントとして、安定安全を説明しました。

木育授業 スマホスタンド経緯1

というのも、販売したモノが壊れたり使用者がケガをした際には重い責任がのしかかります。それは、「作ったのが高校生だから許してよ」というような言い訳が通用するものではありません。

安定については、形が同じだとしても木目などの違いから厳密には同じものとは言えないかもしれませんし、形を微妙に変えてオリジナリティを出すというやり方もあります。しかしながら、オリジナリティを出すためには安定したモノづくりを行う基本的な技術が必要になると考えています。

ばらつきが出ない均質なモノづくりを行う安定と壊れにくい・間違った使い方をされない安全なモノづくりを行うためにはどうすればいいのか?

森林クリエイト科の商品開発はこれらの技術的な課題をどうするかというところから始まりました。

まずは、高校生のもつ技術や高校の環境で安定したモノづくりを行うためにはどうすればいいのか?

それをみんなで考えた結果が下記のスライドです。

木育授業 スマホスタンド経緯2

図面通りに精度高く加工でき、個人差が出にくいレーザー加工機を使うこと

少ないパーツでカスタマイズしやすくニーズがあるスマホスタンドを作ること

ノコギリをつかったり釘やビスで接合するような木工製品はいろいろなバリエーションのあるものが作ることができる反面、同じものを作り続けるというのは技術・経験が必要になります。

そこで、まずは簡単なパーツで構成されるスマホスタンドをレーザー加工機で製作するというプロジェクトが発足しました!

続いて、使って安全なスマホスタンドを製作するために↓のような検討を行いました。

木育授業 スマホスタンド経緯3

 

簡単に壊れないようにパーツの構造・寸法の検討をしたり、木の強さを発揮する木目の向きなどを考えました。

また、どの程度の強度を目指すのかという議論も行いました。

例えばコスト・労力を掛ければ間違って踏んでしまったとしても壊れないスマホスタンドができるかもしれません。

しかし、その強度を上げるという付加価値をつけるためには、重量が重くなったり、コストが上がる=販売価格が高くなることになります。

お客さんはどんなものを求めているんだろうということを想像しながら、スマホを置いた際に十分な安全性を担保できて手軽に購入して使えるグレードのものに決定しました。

モノづくりの工程毎にどのような分担で実施していくかの全体像が↓のように考え・決まりました。

木育授業 スマホスタンド経緯4

 

スマホスタンド形状のデザインについても生徒のみなさんが主体的に考えていきます。

木育授業 スマホスタンド経緯5

 

・横向きに置けるようにしたらどうか?でも木目の向き的に強度が弱くなるかな?

・背面のリングが引っかからないように丸い穴を付けたらどうか?

・お店で販売するなら袋に入れるのがいいのかな?

・那賀町や林業のことを知ってもらうにはどんなことを書いたらいいだろう?

そのような細かいアイデア、試作検討を重ねながら↓のような細長くシンプルな形状のLong、丸い穴あきのANA、表面を焼いて炭化させた焼杉のYakiなどのラインナップが生まれました。

木育授業 スマホスタンド経緯6

 

これらのスマホスタンドは開発早々に新宿の東急ハンズさんで開催された徳島製品展において販売させて頂き、数ある徳島の商品の中でも上位の売れ行きを達成しました!

木育授業 スマホスタンド経緯7

たくさんのお客さんに使っていただく中で、さまざまな改良のアイデアも頂きました。

例えば、「充電しながら使いたいので充電コードを後ろに回せるような構造にできないか?」

これには、高さの調整やパーツに切り込みを入れるデザインの変更により対応しました。

木育授業 スマホスタンド経緯8

 

また、構造だけでなく梱包も試行錯誤を行いました。

店頭でご購入いただくお客さんの様子を眺めていると、袋の上からじっと眺めながら吟味してお気に入りのスマホスタンドを選ばれていました。

そこで、木目や色をたっぷり見ていただけるように↓のようなパッケージに変更しました。

木育授業 スマホスタンド経緯9

 

そしてお客さんのニーズに応えるため、サーフボード型やどうぶつシリーズ、すだちくんなどのご当地キャラ、オリジナルロゴを入れたお土産やノベルティなど次々と新しいデザインにもチャレンジしています。

木育授業 スマホスタンド経緯10

木育授業 スマホスタンド経緯11

木育授業 スマホスタンド経緯12

直近では2021年の8月にゆめタウン徳島のLoftさんにて販売もさせて頂きました。

木育授業 スマホスタンド経緯13

結果は、すだちくんスタンドが大人気!

の一方で従来のLongやANAといった形の販売はいまいちでした。。。

売り場などによってどんなものが求められているかが変わるということですね。

そんなスマホスタンドはオンライン販売も行っています。

例えばCreemaではほとんどが☆5評価で大人気なんですよ~

木育授業 スマホスタンド経緯14

木育授業 スマホスタンド経緯15

 

コメントを見ると、どんなところがお客さんに気に入ってもらえているのかが見えてきます。

価格以上にも評価頂いているというのもうれしいですね(^^)

4,企画してみよう!

木育授業の中では、那賀ウッドとの共同での商品開発にむけて考えてみよう!というアイデア出しの他、商品開発コンペなどにもチャレンジしてみよう!というお話をさせて頂きました。

すでに今年度の募集は終了しましたが、とくしま木づかいアワードではグランプリの賞金3万円のアイデア募集なども毎年行われています。

ここまでご覧いただいたみなさまも是非チャレンジしてみてください!

とくしま木づかい県民会議のWebサイトはこちら↓

https://kizukai.tokushima.jp/

木のモノづくり実習

講義では、那賀高校と那賀ウッド共同での木のモノづくりに関する振り返りもありスマホスタンドを事例として授業を行いました。

それを踏まえ、今回の実習ではスマホスタンドの次のプロジェクトであるカトラリーキットの製作を行いました。

使用する機械はスマホスタンドと同様にレーザー加工機です。

安定&安全のモノづくりを行っていきます。

レーザーで焦げないようにマスキングテープを板に張ります

図面データを入力しレーザー加工の準備を行います

図面データを入力しレーザー加工の準備を行います

レーザー加工機に板をセットし図面通りにカットします

マスキングテープを剥ぎ焼けたすすをふき取ります

 

そして、最後のパッケージングについては那賀町内の福祉施設であるあすなろ作業所さんにて仕上げて頂きます!

地域の連携に感謝しております!

徳島新聞・メディアにも掲載!

講義・実習の際に取材頂き、2021/9/19の徳島新聞にも森林クリエイト科の皆さんが登場されています!

生徒の皆さんが製作に携わったカトラリーキットが様々なところで使われ、喜ばれているところを記事にして頂き嬉しいです^^

 

徳島新聞Webサイトにも掲載!

徳島新聞のデジタルニチヤンにも掲載されています!

https://www.topics.or.jp/articles/-/592251

当日のカトラリーキット製作の実習の様子は↓の動画でも紹介頂いています^^

 

まとめ

森林クリエイト科との共同開発プロジェクトからもたくさんの製品が生まれ、皆さまに喜ばれています。

カトラリーキットで作ったスプーンやフォーク、バターナイフを使って食べる食事は美味しいし楽しいですよ♪

木頭杉のカトラリーキットで作った食器

木頭杉のカトラリーキットで作った食器

木の製品を作ること、そして木の製品がお客さまに喜んで頂けること、社会にも貢献できるという喜びを生徒の皆さんにも感じて貰えると嬉しいです️(^^)

木育授業の最後に生徒のみなさんと記念撮影!

那賀高校のWebサイトはこちら↓

https://naka-hs.tokushima-ec.ed.jp/

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